2008年07月10日

歯科技工の行方

日本歯科新聞掲載 20080708

歯科技工の行方  現場発

       波紋広がる海外委託訴訟 @
       見え始めた法と現実の矛盾


「訴訟を起こして歯科技工士を守る会」
(代表 脇本征男・歯科技工士)が、海外で製作された歯科技工物の輸入が認められるのはおかしいと、国に損害賠償を求めた裁判は告訴から1年を迎え、6月20日に結審した。東京地裁判決は9月26日午後1時15分に下される。
 今回の裁判を通してクローズアップされた問題は歯科技工製作に対する歯科技工士免許資格の必要の是非だろう。おそらく多くの歯科技工士は、歯科医師以外が行う歯科技工については、免許資格を有する歯科技工士でなければならないと信じていたはずだ。
          ♢
 原告側弁護士の川上詩朗氏は6月20日の公判後の会見で、委託の歯科技工について、国側はあくまでも「歯科医師が行う行為」と主張したとし、「製作を委託したときは知識や資格を有している者でなければ行ってはならず、無資格者がやってはならない」と定めた「歯科技工法17条」に矛盾すると訴える。
 そして、現行の歯科技工士法について、「歯科医師あってのもので、歯科医師が右と言えば右、左と言えば左のことが許される。つまり、無資格者が作っても関係ない。そうした歯科技工制度の実態が今回の裁判を通して明確になってきた」と指摘した。
 大阪府の歯科技工士は、所属する団体が発行する6月16日発行の会報で、「歯科技工物は歯科医師か免許資格を持つ歯科技工士しか作ってはならないと信じて、45年間がんばってきた。これほどショックを受けたことはない」と書いている。↓
http://2008setagaya.seesaa.net/article/101515267.html

 歯科技工製作についての国側の主張にショックを受けた歯科技工士は少なくない。
 6月20日の公判を傍聴していた神奈川県開業の歯科技工士は、「歯科技工士法がすべて頭の中に入っているわけではないので、詳細についての解釈で間違っているところがあるかもしれない。しかし、技工教育を受けて最初に頭に入ってきたのは、歯科技工は歯科医師と歯科技工士の他に行ってはならないということで、今でも頭にこびりついている」と述べ、国側の主張に対しては「あれこれとこじつけて正当化しようとしているところに憤りを感じる」と話した。
 支援者でもあり、同じく20日の公判を傍聴していた東京都開業の歯科技工士は、「支援でやっているのか、怨念でやっているのかわからなくなってきた。国側の準備書面等を見ると、厚労省はこれを機会に歯科技工士を潰してもいいと考えているように感じる。我々は無防備だったが、プライドだけは捨てたくない。この裁判に勝たなければ我々に明日はないと思う」と危機感を募らせた。
           ♢
 また、今回の裁判の意義について川上弁護士は、「歯科技工士の法的地位、業務資格の保護が認められるかどうかにかかっている」と強調した。しかし日本歯科技工士会や都道府県歯科技工士会は、この裁判に積極的に関与する姿勢が今のところは見えない。
 支援者の中には、そうした歯科技工士会の姿勢に疑問を持つ者も少なくない。
 元日技役員の開業歯科技工士は、今回の裁判が歯科技工士の間で、もう一つ盛り上がらない理由について、「日技が動かない。これに尽きる」と述べ、「日技会長と直接会い、この問題についての考えを聞き、日技として動いてもらう必要がある」と話した。
 都技地区支部の役員でもある支援者は、支部役員連絡協議会等で[都技として関心を示さないのは、恥ずかしいことと訴えた」と話した。しかしその結果として動かない都技に対する腹立たしさを隠さなかった。
          ♢
 一方、歯科技工士聾学校で30年間歯科技工士法等を教えてきたという歯科技工士は、歯科技工士法について、「なんという法律だろうと思う」と話す。
 歯科技工士法には歯科技工製作について、「指示書」によらなければ作ってはならないとあるが、その「指示書」を発行するのは歯科医師にある。
そして、歯科医師が手を抜いて「指示書」を発行しないで、歯科技工物を作った場合、何か問題が起きて罰せられるのは、発行義務のある歯科医師でなく歯科技工士だという。
 こうした法的問題も含め同歯科技工士は、医療法、歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工士法の歯科4法を突き合わせ、整合性を図る必要があると指摘する。
 そして、それを行うのは個人ではなく、日本歯科技工士会など業界を代表する団体でなければならないと訴えた。
          ♢
 原告側弁護士の一人、岩崎泰一氏は、「歯科医師を信頼して治療に通っている。自分の口の中に入る歯科技工物が海外で作られているかもしれないとはまさか考えてもみなかった」と国民の一人としての率直な気持ちを語った。
 そして、裁判の意義について、「国民の大半は、自分の口の中に入る技工物が海外で作られているかもしれないということを知らない。国民のことを考えて歯科技工士の有志が裁判を起こした。国民に広く知られ、理解されなければならない」
と訴えた。            (続く)
posted by 管理人 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | はじめに・隗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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