2008/2/4 月曜日 デンタルニュースより
桜井議員・歯科技工士問題等を追及
舛添厚労大臣「輸入義歯・問題あれば法制面含め検討したい」
2月4日午前中に開かれた参議院予算委員で、質問に立った民主党の櫻井充参議院議員が、・補正予算・医療費・意思不足、看護師不足・歯科技工士の惨状・鳥インフルエンザ・などの問題を、パネルを使用しながら、特に中国で製作される義歯について、養成学校の課題も含め指摘し、舛添厚労大臣に次のように要旨質問した。
櫻井議員は
「歯科業界は大変な問題となっています。技工物を中国で製作している現状があります。実は、これがノーチェックなのです。なぜかと言いますと、輸入している歯科の技工物は、雑貨として扱われているからです。
病気になるかもしれないものが、雑貨扱いで、チェックしていないのです、如何ですか」
とした。
これに対して舛添厚労大臣は
「人件費が安いということで、海外で製作されていることがあることは、歯医者さんから聞いています。しかし、口の中に入るものですから、きちんとすべきだと思ってます。
具体的に、17年9月8日、
『国外で作製された補綴物等の取り扱いについて』
歯科医師に対して注意を喚起し、患者の十分な情報提供して下さい。患者の理解と同意を得てください。
良質かつ適切な歯科医療をすること、指示を出しているところです。」
と、歯科医師の判断を担保しているという趣旨の答弁をした。
さらに
「雑貨扱いであれば、国民の健康が守れないということであれれ、法制面も含めて、しかるべき手を早急に検討していきたい」
とした。
引き続き、櫻井議員は、歯科技工士の惨状について聞いた。
歯科技工士の年齢分布のパネルを示しながら、
「25歳以下の技工士の方が減ってきています。なぜかと言いますと、あまりにも仕事が厳しいからです。
また歯科技工学校がつぶれていますし、募集しても定員に足りないのがほとんどです。しかも卒業しても10%程度しか技工士になりません。
現在、25%を占める50歳以上の方々が歯科技工士を辞めると日本の歯科医療の根幹を支えている根底から揺らいできます。
これも医療費の抑制政策がこういう所にも来ているのです。
今まで、看護師など取り上げられて来ましたが、技工士さんが取り上げられてきませんけど、この業界はメチャクチャ大変です。大臣の認識はどうですか」
と聞くと、
「全体の医師不足にも関わりますが、養成には5年、10年とかかります。
その時に、長期的な計画を立てて、定員をどうするか考えなくてはならないと思います。処遇、待遇の問題もありますので、現在では、定員割れをしている状況です。
治療より予防という方向転換もありますが、今のような高齢化社会になって、義歯の需要も高まり、治療は当然行なわれなくてはなりません。その根幹である歯科技工士の不足を、来たしてはダメですので、長期的な観点からも『医療ビジョンの作成』の見直しをしようと思ってます。そこでも、この問題をきちんと取り上げさせていただきたいと思います」
と今後への対応を示した。
桜井議員は
「これは、医療費の削減、抑制し続けてきたことです。必要なところにお金がついていないことが、原因なのだろうと思います。総理の決意を聞かせて下さい」
と詰問したが、福田康夫総理大臣は
「医療費の重要性は十分認識しているつもりです。しかし日本の限られた財政事情のこともございますから、全体のバランスをみて、考えていかなくてはいけないと思います。
しかし、今は、世界一の長寿国。来年、再来年どうなるのか、ということもあります。
将来、良い医療の水準を維持できるかどうか、これも考えていかなくてはなりません。
医療費の予算を増やしていく場合に、国民の負担がどのくらいになっていくか、ということも当然考えなくてはいけないわけですので、そのバランスも取らなくてはならないということです。
その意味において、ただいま、社会保障についての検討会議を開催しまして、議論をし早急に考え方を取りまとめ、具体化するという手はずをとっています。
民主党の皆さんにも参加して議論して頂くのが良いのではないかと思っています」
と淡々と答弁した。
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