第2回シンポジウムご報告
平成21年 8月25日
歯科医療を守る国民運動推進本部
歯科医療を守る国民運動推進本部は平成21年8月23日第2回シンポジウムを東京九段会館にて開催しました。当日は晴天に恵まれ、参加者は一般、歯科医師、歯科技工士を含め120名の盛況でした。定刻1時より東京都歯科技工士協議会副会長中込敏男氏の総合司会で開始され、脇本代表による開会挨拶のあと弁護士川上詩朗先生の基調講演に入りました。
川上先生の講演では法律家として、また、一消費者として興味ある内容で、歯科技工士行政のありかた、海外委託の解説、技工業の現状、将来、などについて客観的立場からのわかりやすい説明、我々技工士の立場では見えない部分を明らかにし、貴重なご指導をいただきました。
続いて、脇本征男主催者代表から、中国北京視察報告のスライド80余枚を使い、1北京市街風景、2歯科技工所、3歯科技工器材、4技工作品、5登録証等、6コミュニケーション、と整理された校正でユウモア溢れる楽しい報告でした。
2時からは2時間の予定でパネルディスカッションに移りました。座長は愛知県在住の歯科技工士安藤嘉明先生(元日技役員)、パネラーには 医療ジャーナリスト 田辺 功先生(元朝日新聞編集委員)、青森県在住の歯科医師成田博之先生(保団連理事)、 歯科技工士金田米秋先生(東京都歯科技工士協議会代表)歯科技工士脇本征男(主催者代表)が演壇に着席いたしました。
座長様から、まず、総合的説明のあと、テーマについてパネラー各位にそれぞれのスタンスについて質問があり、その後、副題の、1 国民の安全安心の歯科医療には何が必要か、2 日本の歯科医療制度を守るために何が必要か、3 歯科医療のグローバル化には何が必要かの質問がされました。パネラーの先生方からご研究された成果の発言が続きました。田辺功先生からは消費者国民の立場から、歯科業界の盲点を指摘された鋭い回答でした。成田先生は歯科医師の立場からスライドを準備され資料を掲示して、技工士の立場を理解された包容力ある解説でした。金田先生は長年自ら営むラボの悩みと豊富な技工士役員経験を生かしての業界の実態を改めて浮き彫りにされました。脇本主催者代表からは、難しい裁判の苦悩や、支援者からの温かい志の多いことに感激し、業界が生き生きしていると述べられました。
総括として次のようなコメントが座長様からありました。
@ 国は、国民の健康で安全・安心な生活を守り伝える義務があることから、法的規制を図るとともに、必要な施策を打ち出すべきである。医療は公共財(公共の財産)であるから、保険・自費を問わず国が最終責任を負うべきである。
A 歯科技工物は、常時口腔内に装着されている臓器の一部で、単なる産業工芸品・一般商工業製品と捉えるべきではない。従って、「医療機器」及び「医療品扱い」とすべきである。いわゆる「雑貨物」ではない。
B 大切な人間臓器の一部を作る者が、無資格者であっていいはずがない。患者の口腔内に装着されてしまえば、海外製作者なのか国内の技工士が作ったものかは判別できない。歯科技工士法の形骸化を招き、ひいては若年者の離職、仕事のできる技工士の枯渇化へと進む可能性が高い。
C市場経済グローバル化の風潮は認めるにせよ、「医療」・「介護」等は、ISOなどの産業経済の仕組みにはなじまない。
D以上のことから、今後とも国民の歯科医療を守るために訴訟の内外で有識者、歯科医療係者、消費者団体関係者等からなる検討機関を早急に設置して国民目線にたった対策を講じていくべきである。
進行は一分たりとも無駄な時間が無くスムースにできたのは、座長様が日数をかけて作られた緻密なシナリオ、それに伴ってパネラーの先生方の準備が整っていた事だと思います。良い先生方に恵まれた実り多いシンポジウムでした。
最後の質問コーナーでは数名から、熱心な発言が続き、5時閉会予定をオーパーする活気に満ちた質疑応答でした。閉会の挨拶には金田先生にまとめていただきました。
第2回のシンポジウムの開催によって、一般の方、歯科医師、技工士会会員、非会員を含め、多角的討論となり、技工業界の歴史の一ページになったものと自負し、協賛をたまわりました関係各位、並びにご出席者の皆様方に厚く御礼申し上げ、ここにご報告とさせていただきます。